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焦点距離と画角とパースペクティブ(遠近感の強調・圧縮効果)の関係

望遠の特徴や広角の特徴として

望遠は

  • 遠くのものを大きく写すことができる
  • パースペクティブが弱く、並木道などの木の間隔が狭く写る(圧縮効果)
  • 被写界深度が浅く、ボケが大きくなる

広角は

  • 広くものを写すことができる
  • パースペクティブが強く、遠近感が強調される
  • 被写界深度が深く、ボケが小さくなる

と言われています。(私のページでもこちらで説明してあります)

これで、間違いはないのですが、こんな疑問が出てくるかもしれません、APS-Cのデジタル一眼レフを使っていると、画角は焦点距離の1.5倍相当(50mmのレンズで75mm相当の画角)といった感じの説明が説明書などに書かれてあると思います。この場合、パースペクティブや被写界深度といった特徴はどうなるんだろう?

「レンズは同じなのだから、パースペクティブも被写界深度も変わるわけがない」と考える人もいると思いますし、「広角から望遠側に変わるわけだから、パースペクティブや被写界深度といった特徴も望遠の特徴になっていくはずだ」と考える人もいるかと思います。

結論から言うと、どちらも間違えです。実は望遠や広角の特徴の中には、焦点距離に依存した特徴と、画角に依存した特徴があり、画角に依存した特徴は、焦点距離にかかわらず同じ画角であれば同じ特徴になります。逆に焦点距離に依存したものは画角にかかわらず焦点距離によって決まります。

実際にとり比べてみた・画角とパースペクティブの関係

今回はAPS-Cよりもさらに焦点距離の差がつく、Nikon1 J3(2.7倍相当の画角)とNikon D700(フルサイズ)とで、同じ焦点距離になるようにし、ほぼ同じ位置から撮影をしてみました

Nikon1 J3 焦点距離60mm(35mm換算162mm)
Nikon D700 焦点距離160mm(35mm換算160mm)

どうでしょうか?木の手すりの枠の間隔など、パースペクティブの強さがわかりやすい場所に注目しても、ほとんど差がないことがわかると思います。これは、パースペクティブの強さは焦点距離に依存せず、画角に依存するためで、パースペクティブの特徴は35mm換算焦点距離を基準に考えて問題がないといえます。

ここで、APS-Cにしろ、CXサイズ(1インチ)にしろ、35mmからトリミングしたにすぎないのだから、35mmフルサイズの写真をトリミングしたり、はさみで切るとパースペクティブは弱くなるとかあり得るのか?と言われそうですが、結論から言えばあり得るということになります

(本当は、ここで60mmのレンズへ付け替えたかったのですが、小雨も降っていて厳しかったので70−200mmの広角端である70mmにして、同じく160mm相当へトリミングしたものを追加します。)

D700 70mm ノートリミング
D700 70mm トリミングで160mm相当へ(緑の部分)

どうでしょうか?70mmの左側を見れば、たしかに手すりの木の間隔は160mmと比べ広くなっていますが、そこからトリミングした写真はやはり、160mm相当のパースペクティブになっているのがわかると思います。

実際に撮り比べてみた・焦点距離と被写界深度の関係

今度は、被写界深度について比べてみました。F値はともにf5.0にそろえてあります。

*上の写真でも、被写界深度の差はよく見ればわかりますが、撮影の条件的にボケが小さくなり、600×400まで縮小すると被写界深度の差がかなりわかりにくいため、縮小しても差がわかりやすい写真を別途用意しました

Nikon1 J3 焦点距離60mm(35mm換算162mm)F値 f5.0
Nikon D700 焦点距離160mm(35mm換算焦点距離 160mm)F値 f5.0

差は一目瞭然といったところで、フルサイズのD700のほうが、ぼけも大きく被写界深度が浅いのがわかると思います。被写界深度は、画角ではなく焦点距離が影響するのがわかります。

まとめ

広角や望遠の特徴と関係する部分をまとめると、このようになります

広角・望遠の特徴 関係するもの
写る範囲 画角(35mm換算焦点距離)
パースペクティブ
(遠近感の強調
圧縮効果)
画角(35mm換算焦点距離)
被写界深度 実焦点距離

望遠や広角のテクニックとして、遠近感の強調や圧縮効果といった特徴を使うテクニックは、センサーサイズにかかわらず使え、ボケで背景を処理したり、ぼけをつかって奥行感を作るといった被写界深度に関するテクニックは、実焦点距離(ひいてはセンサーサイズ)が重要になってくると言えます。

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