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Nikon D5の低いDxOスコア・D750やD810より画質が落ちるのか考察してみた

つい先日、デジタルカメラのベンチマークテスト・DxOMarkにて、Nikon D5のスコアが発表されましたが、サンプルでみた写真などはかなり好印象なのに、思ったより数値がよくないようで、この乖離はすこし気になったので、個人的に考察をしてみました。

あくまでも個人的な感想なので間違えてるかもしれませんが、興味があればぜひ

DxOMarkの結果
D5 D4S D3S D810 D750
Overall Score
88 89 82 97 93
Color Depth
25.1 24.4 23.5 25.7 24.8
Dynamic Range
12.3 13.3 12 14.8 14.5
Low-Light ISO
2434 3074 3253 2853 2956

といった感じで、ベンチマークテストでみると前機種のD4Sよりも数値が下がってしまっているのです。しかしこの数値はピーク性能での比較になるため、もう少し詳しく細かい数値を見ると、高感度時のColor DepthとDynamic Rangeに面白い傾向がありました。

比較対象として、総合点が97と高いD810を比較対象とします。

Color Depth
ISO100 ISO3200
D5 25.1bits 19.5bits
D810 25.3bits 18.7bits
Dynamic Range
ISO100 ISO3200
D5 12.26Ev 11.08EV
D810 14.36Ev 10.03EV
SNR
ISO100 ISO3200
D5 44.8db 30.06db
D810 45db 30.08db
Tonal Range
ISO100 ISO3200
D5 9.92bits 7.66bits
D810 9.63bits 7.29bits

とこんな感じになります。

低感度では、Tonal Range以外の項目でD810はD5をうわまわり、とくにダイナミックレンジに至ってはかなり大きな差をつけています。また信号/ノイズ比であるSNRはD810のほうが高感度時でも若干上回っているので、一見すると高感度のノイズ量もD810のほうが少なそうに見え、D5は完敗してるように感じます。しかし

色深度(Color Depth)とダイナミックレンジの高感度特性はD5が上回っている

この点に、個人的にはこの点がサンプル画像を見た時の印象とベンチマーク値の乖離に関係しているのではないかと思いました。色深度は「どれだけ沢山の色を判別できるか」、ダイナミックレンジは「光の強さを表現できる範囲」をあらわしているので、D5は高感度撮影には、わずかにノイズは多いものの色をしっかりと記録し諧調特性もD810より良いということになります。

ということは、わずかに多いノイズは、色への影響が少ないもの、色がのっていない細かい輝度ノイズの可能性がありそうです、また色の記録がしっかりあり諧調もしっかり残しているD5の高感度撮影データは画像処理エンジンやRAW現像ソフトからみるとノイズの処理が行いやすいのではないかと想像できます、そうなると、最終結果としての写真はかなり高品質なものが出せても不思議ではありません。

また色のついていない細かな輝度ノイズは比較的許容されやすいノイズという点もあるのでその点でもサンプル写真では好印象になった可能性もあります。

D5のセンサーは高感度特化型
D5の主な撮影目的となると、やはりプロスポーツなどのスポーツ撮影が中心となり、高感度での撮影が増えてきます。 近づけないのでどうしても500mmを超えるような超望遠レンズでの撮影が多くF値も明るいものでもF4となるため、高感度での撮影能力の高さが大事になる撮影分野といえます。まさにそのために生み出されたカメラがD5だと考えると

D5のセンサーはピーク性能は低いが、高感度時の性能低下を極力抑えるように設計されたセンサーなのではないかと思います。

一方、D810は風景など三脚を立てて最高画質をねらうような撮影目的が多くなると想像できるため、D810のセンサーはピーク性能を可能な限り高く設計されたと思われます

DxOMarkスコアの推移表

DxOMarkスコアの推移表を作ってみました。赤い線がD5です

Color Depth

色深度は、ISO400前後でD750やD810を上回り、その後は高感度になるほど差を広げています。高感度でも色乗りがよいと想像できます。

Dynamic Range

ISO800以下では、他のNikonフルサイズ機に比べDレンジは狭く、白飛び・黒つぶれしやすい傾向がある反面、ISO1000以上では逆に他のNikonフルサイズ機よりもDレンジが広いという、かなり特徴的な曲線を描きました。

SNR

SNRは、総じてD750やD810に比べると下回る結果になりました。

Tonal Range

Tonal Rangeは、総じて他のNikonフルサイズ機よりも高いスコアを示しています。階調特性は非常にいいと言えそうです。

階調の細かさ

このグラフは次の仮定のもとに作成しました。白=白飛び・黒=黒つぶれとすると、白から黒までの明るさの幅はDレンジと言えます。Tonal Rangeは白から黒までの階調数をビットであらわしたものなので、Dレンジ÷2^Tonal Rangeで、1階調分の明るさの幅EVが算出できます。1階調分の明るさの幅が小さいほど、明るさの変化を細かく記録しているはずです。このグラフでは10諧調分の明るさの幅の逆数をグラフにしたので、グラフが上にいくほどトーンを細かく記録していることを示しています。

D5は、低感度において非常にトーンが細かく記録され、Dレンジ自体は他のNikonフルサイズ機より狭く白飛びしやすい傾向にあるものの、飛ぶ直前のトーンのつながりは非常によく、トーンジャンプを起こしたり、突然ぽんと白飛びする感じでなく、飛び方は素直できれいな飛び方をするのではないかと想像されます。もし想像通りであれば、ハイキ―気味で肌の一部を飛ばすような撮り方のポートレートにも強い機種なのかもしれません

*D5本体を持っていないので、検証などは全くできないため、あくまでデータ上の想像です

合計値

Dynamic RangeとSNRとTonal RangeとTonal Rangeから算出した諧調の細かさを合計したものの推移をみてみると、おおよそISO1000前後でスコア値が逆転しているのがわかります。D5は高感度に特化した設計だと言えます。

あまり、ベンチマーク値に左右されるのもどうかと思いますが・・・こうしてみると、個人的にはD5は、使い方に合わせた特性をもつフラグシップにふさわしい設計がなされていると感じました。

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